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中原中也「湖上」

「ゆらゆらら」を聞いていると、有栖川有栖という作家の「孤島パズル」という作品の中で、主人公2人が夜の湖にボートで浮かんでいる場面を連想します。その場面で中原中也の「湖上」という詩が語られるのですが、本格ミステリにしては珍しく詩的な光景です(トリック=一種の詩という解釈もあるのかもしれないというのはひとまず置いといて)。健さんがこの歌を知っていたらいいなぁという想いを込めて。


湖上

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう。
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

沖に出たらば暗いでせう、
櫂(かい)から滴垂(したた)る水の音は
昵懇(ちか)しいものに聞こえませう、
――あなたの言葉の杜切(とぎ)れ間を。

月は聴き耳立てるでせう、
すこしは降りても来るでせう、
われら接唇(くちづけ)する時に
月は頭上にあるでせう。

あなたはなほも、語るでせう、
よしないことや拗言(すねごと)や、
洩らさず私は聴くでせう、
――けれど漕ぐ手はやめないで。

ポッカリ月が出ましたら、
舟を浮べて出掛けませう、
波はヒタヒタ打つでせう、
風も少しはあるでせう。

中原中也「詩集・在りし日の歌」より

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